自作

そういえば、学部の学生のころ出入りしていた他学科の研究室を思い出す。床はタバコの灰と配線の切れ端とストリップした配線の被覆がうっすらと積もっていた。机の上には半田ゴテや工具、配線の途中の基盤やなぜかカバーを開けたHDDが散乱していた。ここの先生は、CPU と仕様書を入手して周りの回路を設計・製作し、CP/M を移植するということをしていた。買ってくるのはすべて部品(電子パーツ)なので、ほとんど消耗品。CPU にあわせてアセンブラを作るということもしておられた。
こういう研究室に出入りしていたので、``コンピュータの自作というのはCPUだけ買ってきて、周りは自分で半田付けするもの''と思っていたので、後に規格物を買い集めて組み立てた``自作PC''は「これって自作でなくて組み立てだよなぁ」としか思えないのであった。
やはり、こういうことを言うのは古い人種になってしまうのであろう。

「回路なんかできてるじゃん、面白くないな」とか思ってた。自分で回路を考えて、チップを全部揃えて、配線して、それを制御するプログラムを全部書いて、というのがコンピュータの自作だと思ってたんだけど、最近の人は、なんかガワを買ってきて組み合わせて「自作だ」とか言ってるから、あれはけしからん。なんてことを言ってると、また「オールドだ」と言われるんだけど (笑)

後にこの先生から「郵便局長!」と呼ばれるようになり、「Visual BASIC って便利だよなぁ、マウスでごにょごにょするだけでプログラムができちまう」と言われたときには大いなる時の流れを感じてしまった。
この先生からは直接的な指導はいただかなかったが、ハードウェアやソフトウェアの設計やデバッグなど、多くのことを見て盗む(学ぶ)ことができた。